私の身内がマルチ商法にひっかかった体験談も交えて書く

前回のつづき。

罵り合ってるうちに「私のことを信用できないのなら離婚する!」とまで嫁は言い出した。

「嫁と大喧嘩した」

増田の記事を読んでいるうちに、私も身内のことを思いだして、「あー、そういうものだよねー」「あるあるw」と深く共感してしまいました。

私の場合は夫婦とかではないし同居もしていませんが、増田の妻と同じようにマルチ商法にハマったあげく、親兄弟にむけて道理にあわぬ暴言を吐きちらす身内がいるのです。
普段はちょっとぐらい穏便に話すことができていますが、マルチにかんして否定的なことを言った途端、まるで人が変わったように激昂して、ものすごい剣幕で怒鳴りたてて自己正当化を始めます。


でも、化粧品は使うのだと言う
でたらめ商売であることは理解したというのに…
俺には未だそんな嫁が理解できないが、最大の問題はなんとかなったのでまぁいいか

でたらめな製品だ、違法な商売だということを丁寧に説明し、家族が心をこめて止めてほしいと頼み、当人も一応そのことに納得してくれたかに見えても、それだけですぐに終わらないのがマルチの恐ろしさなんです。

私自身もこういう依存の心理はよく分からないのですが、マルチ商法やカルト宗教の被害者において、これはまったく珍しいケースではありません。洗脳状態から脱するには時間がかかるみたいです。


旦那の言うことなど信用する気ゼロ
ネットで検索してみろと言っても「そんなのネットなんか悪口ばかりだから信用できない!」の一点張り

これもマルチにハマッている人がよくとる言動です。
「信用していいのはマルチの製品をつくっている会社と、自分がいま一緒にその活動をやっている先輩・仲間の言葉だけ。それ以外はたとえ夫婦や親兄弟であろうと、いっさい否定的意見に耳を傾けてはならない」――そういうふうに妄信しきっています。

ところが、その盲信者にむけてマルチと関係ない話題をふってやれば、案外普通に会話できちゃうってことが多いのです。
増田の妻だって、マルチ以外のことではきっと正常に理性が働いていて、夫の言うことやネットに書いてあることにも耳を貸したと思います。

こういうタイプの妄信は、紀藤弁護士による説明が参考になると思うので、その本から引用してみます。

マインド・コントロールされた人は、日頃から教祖・教団に不都合な話はしないように訓練されていますから、そんな話題に差しかかると会話が途切れます。
「今日は何を食べた?」とたわいない日常会話ならいくらでもできますが、「(マインド・コントロールをやっている)占い師と何を食べた」と聞くと、もうしゃべれなくなってしまう。

マインド・コントロール紀藤正樹

補足について

「嫁と大喧嘩した」元増田による補足
http://anond.hatelabo.jp/20130321150055

増田の補足によると、あの記事はすでに過去の話であり、現在はこの妻もマルチ商法から脱却できているそうです。

「よかったね、おめでとう」と言ってあげたいものの、これのせいで、マルチ商法は家族の説得でやめさせることができる、とか、家庭内のトラブルだなんて思われてしまったら、それは問題を矮小化して読者に誤解を与えることにもなりかねません。
私はそれを大変危惧しています。


妻は、稼ぎの少なく将来の見えない我が家に少しでも貢献しようと、自分なりに考えてたんだって。
そのIPSママ友達に結構よくしてもらってたらしいのもあった。

マルチをやっている当人は、善意や情熱があって大真面目なのだろうし、頑張って努力しているつもりだと思います。
だからこそ手に負えない、活動的なバカほど恐ろしいものはない、と評すべきなんでしょうけど。

カルトと同じで、「家族思い」というのもよくあることみたいです。
統一教会の話になりますけど、さっき引用した紀藤弁護士の本によると、あれに入信して親と会えなくなった子は、なにも親のことが嫌いになったから会わないのじゃないそうです。大切な親を地獄におとさないようにするため、自分が信仰に励まなくてはならないと思いこんでいるから、それで居所を隠して会わなくなってしまうのだそうです。

また、すでに再三述べてきたとおり、ママ友達とのつながりを切れないことなども、マルチ商法への依存をやめられない要因の一つとなっています。


最初はね、単に奇麗になりたかったから、そこの化粧品使い始めたんだって。
プラセボかもしんないけど、効果があるとわかってきて、IPSを信頼し始めたそうな。

「顧客として製品を使うところから始める」というのは、やはりこの増田のケースでも共通だったみたいですね。
よくある勧誘の手口として私が先日紹介したものです。きわめて典型的と言わねばなりません。
そのうえ、「製品の質は悪くない、当人は満足している」というのもそのまま該当しています。まずは製品を使わせて理解をえて、そのあと洗脳して崇拝させるのです。

こういう事例を知れば知るほど、マルチ商法はどこも勧誘の手口が似たり寄ったりだと再確認できます。
ちなみにア○ウェイなんかは、本社がわざわざ指示していなくも、各グループが勝手に自己啓発セミナーみたいなことを始めて、おのずから金太郎アメみたいな共通の構造をつくるそうです。
ですから、勧誘の手口も、洗脳のやり方も、よくあるパターンを事前に周知しておくことで、予防に役立つのではないでしょうか。